皆さん”ライフ”って知ってます?ナニかの雑誌で連載されてる漫画で、ドコかのチャンネルでドラマ化されてて、しかもダレかが主演してることでお馴染みの”ライフ”ですよ。
この”ライフ”をベタ褒めする知り合いの男の弁によると「ヒドイいじめを受けた主人公の漫画だからミスターMには超オススメ」とか私に漫画を薦めてるのか自殺を薦めてるのかわからなくなるようなコトをホザくもんで、ともかく今年のお盆はいつも通りエロサイト巡回に徹するというのもアレですから暇つぶしに噂のライフとやらを大人買いして一気に読破したるわい!そして読み終えたらお望み通り死んでくれるわい!と決意しました。見るも無惨なイジメ現場をリアルに描写するまだ見ぬライフの内容を夢想しながら……
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「ケンジ!ジャンプとコーラ買ってこい!」
クラスのガキ大将であるツヨシは乱暴に一枚の100円玉を投げつけながら言った。
「うん、ツヨシくん…でもこれじゃお金が足りないよ…?」
「バカ!足りないのはオマエの頭だろ?何とかして次の授業までに買ってこいよ!ガハハ!」
ケンジは涙を堪えながらコンビニへ走り、母親から昼食代として渡された500円を支払ってジャンプとコーラを購入する。
「おいケンジ!月刊ジャンプとダイエットコーラってナメてんのか!」
「え?だって、ジャンプとコーラとしか言われなかったから……」
「テメェ!パシリのくせに口応えすんじゃねぇよ!こうなったら裸威怖(ライフ)の刑だ!」
裸威怖とはその名の示すようにクラスメート全員の前で全裸にされ辱しめを受けるような生易しい刑ではない。むしろツヨシが全裸になり抵抗できない相手を徹底的に蹂躙する究極の拷問なのである。
「フフフ、ケンジよ。どうだ?俺様の裸威怖の味は?もっと近くで見せてやってもいいんだぜ?」
「やめて!殺して!いっそ殺してぇぇぇ!」
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と、こんな熱き血潮たぎる漫画は私のツボにピタリとハマりますから大人買いも悪くありません。観賞用と保管用に同じものを各々数冊ずつ買い占めるのもアリってもんです。タイトルしか知らないまま買いに行くのもややこしいんで出版社や作者を聞いてみると、講談社の”フレンド”ていう雑誌に連載中らしいですね。いじめられっ子漫画なのにフレンドとはコレ如何に?なんて思ったんですけどそんなコトはどうでもよくて、なんと作者の名前が”スエノブケイコ”とか言うじゃないですか。どう考えても女性じゃないですか。断末魔の悲鳴とともに血飛沫が舞い、腐敗した屍が転がるような壮絶で凄惨なイジメを期待してたんですけど女性の描くイジメなんて「いぢめるわよ??そぉ?れ」「いや?ん」とかそんな程度でしょ?もっと獣のような凶暴性を剥き出しにした暴力だとか、普段から自分のことを”ワシ”で相手のことを”ヌシ”て呼ぶような男らしさだとか、ヒゲぼーぼーで身長も2メートルくらいあるけどホントに中学生?と思うような逞しさとか、そういったものを私は求めているんですよ。
いやね、このスエノブケイコさんが名前は女性風でありながらも歴史の前例でいえば小野妹子の如く実はヒゲヅラの男性で、しかも剛腕にモノを言わせて今まで幾人ものアシスタントを葬り去ってきた猛者ならば何も文句はありません。しかしどうやら作者は女性でヒゲも生えてないうえにドスもフンドシも出てこないヌルイ漫画とのことで、この時点で今年の私のお盆の予定はやっぱりエロサイト巡りに決定です。
今回ライフなんぞをプッシュしてきた知人はいつぞやも「ミスターMって普段からセックスの話ばかりしてるからセックスピストルズもきっと好きだろ?だったら”NANA”を読んでみろよ」とか大幅に焦点が外れすぎて視界がボヤけまくりなことを言ってのけましたからね。「その心は?」みたいなトンチ問答かと思うくらい出発点と到着点が繋がりません。その前に男のくせに少女漫画なんてヤワなもんを読むな!今が戦時下なら貴様は非国民だぞ!それほどに場違い!それほどにピントがズレている!
まぁピントがズレていると言えば”ライフ”みたいな娯楽だけでなく報道も含めてメディアのイジメに対するスタンスって言うんですか?例えばイジメ自殺者が出た場合にイジメは許さない&被害者カワイソウという意見の一辺倒なのは実は問題じゃないかと思うんです。もちろんイジメは許されません。罪のない被害者を自殺にまで追い詰める蛮行はあってはならないことです。でも加害者の悪行と非人道性を批難し、自殺してしまった被害者に同情を寄せる姿勢は必ずしも良いことばかりだとは限らないのです。私は道義に反してでも自殺者を嘲笑するようなメディアがあってもよいと思います。
私なんぞにイジメに遭って自ら命を落とす人の気持ちは到底わかるものではありません。常人の理解が及ばないほどの窮地に立たされた人に対して「自殺は良くない」「死んだらダメ」と関係ない者が軽々しく言うのもナンセンスでしょう。しかしそれでもなお関係ない私から見れば自殺以外により良い選択肢があったのではないかと思われ、自殺へ踏み切るに至る決定的な意義を見い出せないのです。今まさに受けている苦痛から逃れる行為は自殺に限ったことではありません。学校をボイコットするのも良いでしょうし家出するという手段もあります。ホームレスになるか亡命でもして俗世から離れると色々と大変でしょうが少なくともイジメからは脱却できます。抵抗のためのスタンガンや金属バットなども子供の小遣いで買えますし包丁やナイフ程度ならどこの家庭にもあるでしょう。なお切羽詰まって自殺するとしてもまず加害者の命を奪って復讐を済ませてから壮絶に心中するという発想はないのでしょうか。もちろんこれは好ましい復讐とは言えませんが。
自殺した被害者に合理性、生産性を求めるのは酷であることを承知のうえですが、しかし他の手段を敢えて採用せずに遺書を遺して黙って独りで死ぬことを選択した相応の理由があるはずなのです。自殺した方が良い結果に繋がるという何らかの理由です。
こう考えるとメディアの姿勢が一つの要因として浮かび上がります。マスコミはイジメ事件を取り扱う際にイジメる側の狂気を積極的に報道しイジメられた側は無辜の被害者として大宣伝します。絶対悪は加害者ですから自殺者を貶める論調は道義的に許されず、メディアによって世論は加害者への怒りと被害者への同情に傾きます。仕返しには踏み出せず、かと言って泣き寝入りする屈辱も受け入れ難い被害者の立場からすれば自分の死が全国に報道されることが加害者への報復に繋がりヒロイックな気分に浸れて自分の名誉も守れる、同時にイジメの現状からも脱却できる一度に三度おいしい手段として最も効果的なのではないでしょうか。
つまり自殺者聖化が結果として自殺の増加に貢献しているのです。”イジメは悪、自殺はカワイソウ”の宣伝は加害者に対してはイジメ抑止として有効ですが被害者には何の利にもならないどころか捉え様に依ってはかえって自殺を後押しする装置にもなりかねません。被害者も加害者もその他の無関係な者も含めて区別なく画一的に情報を送るこの点がマスコミの弱点だと思います。イジメへの憎悪と自殺者への同情は人間として当然な気持ちであり社会への警告として必要ではあるものの、側面として自殺者の「自分で死ぬなんて俺、哀れ」「死んで社会に問題提起する俺、カコイイ」と空虚なナルシシズムとヒロイズムを充たす危険も孕んでいるのではないでしょうか。つまり加害者含めた社会全体へ向けた報道は”自殺を考える少数の人へ向けて”の報道としては適切ではないのです。
マスコミ各社の中でひとつくらいこの流れに反旗を翻す報道姿勢があってもよいのではないでしょうか。「自殺ってダサくね?死んだら解決とかバカじゃね?童貞のまま死ぬとかマジきもくね?」とメディアが言えば当然ながら外道扱いですが人命のために敢えて悪の汚名を被る勇気のあるジャーナリストはおらんのか!「自殺しないで頑張れ」という応援じゃ生ぬるいんです。「自殺って恥ずかしい」というメッセージこそ必要なんです。
以上は自殺を謀る人の心理を私なりに考察してみた推論に過ぎませんし、イジメの根本的な解決ではありません。イジメ問題の解決とは以下のように
(1)、イジメを完全に撲滅、件数をゼロにする
(2)、(1)が現実に難しいので絶対数を減らす或いはイジメの程度を抑える
(3)、(2)に向けての努力も即効果は得られないので一先ず被害者に踏みとどまってもらう
ことです。私の上記の論述は(3)に関してであり完全解決へ向けたステップの一つです。言わば応急措置でしかないのです。しかし我々は第一歩を踏み出さなければなりません。規制メディアでは決して伝えることができなかった、ライフなどでは描き出すことのできなかった「自殺、かっこ悪い」を声高に叫ぶときなのです。
というわけでメディアは若者に最も影響力のある有名人を起用しろ!一番ホットな世界に誇る日本のスーパースターを連れてこい!となると適任はサッカーの前園真聖以外に考えられない!今から10年ほど前、CMで発した前園の「いじめ、かっこ悪い」は加害者に向けたものでした。しかしこれだけでは被害者への視点が欠落していたと言わざるをえません。「自殺、かっこ悪い」。これを日本代表どころかJリーグのレギュラーにも定着できずに不遇の競技生活を過ごした”かっこ悪さ”日本代表の前園に言わせればどれだけ説得力があるでしょう。「うぉ!あんだけカッコ悪りぃ前園を以てしてカッコ悪いってんなら自殺って相当カッコ悪りぃなオイ!」となることは明白です。そして「一時期は散々テレビに出てたくせに急に消えていった前園もカッコ悪いけど頑張って生きてるんだ!自殺なんかで死んだら前園よりカッコ悪いぞ!」という真理に気付いてもらえればよいのです。ついでに「童貞、かっこ悪い」も前園に言わせれば効果は倍増です。
報道(ニュース)でも娯楽(漫画、ドラマ)でもメディアはつまらない道徳や規制にすがりついて被害者を擁護するばかりです。人命という公共の利益のために自らを犠牲にして敢えて道に抗う「悪」に、つまり”かっこ悪い”になって自殺するヤツをセックスを餌にしつつ叱り飛ばすくらいの鬼こそが今の我々にとってのスターなのです。
イジメられっ子へのアメとムチ、「大人になったらセックスできる」というアメと「意地でも自殺を許さない」というムチを使い分けて最悪の事態を回避しろ!
自殺を許すな!セックスライフ!
イジメに負けるな!セックスライフ!
夢のような!セックスライフ!
バラ色の!セックスライフ!
…と私が叫んでいるのを聞きつけてか冒頭の知人が寄ってきて「やっぱりセックスピストルズ好き?」「ライフ読んでみたら?」なんて言いながら”NANA”と”ライフ”を再び薦めてきやがりました。いやいや、マジでいい加減にしてください。私はエロサイト巡りで忙しいんですから。
そう、これが私のセックスライフ!!