原付が盗まれました。ホントにね、この一文が今月の全てだってくらいショックがデカいんですけど実は原付が盗まれたんですよ。朝起きて眠い目をこすりながらカーテンを開けまして、小鳥のさえずりに耳を傾けつつ柔らかい朝日をいっぱいに浴びちゃったりして「今日も笑顔で頑張るぞ」なんて鏡に映った自分に微笑みかけるわけですよ。新聞片手に厚めのトーストを牛乳で流し込んだら歯を磨き、ミントフレーバーを漂わせながら「さぁ、素敵な一日の幕開けだ」と玄関のドアを開けたら原付が無くなってましたからね。

一日の幕開けで意気揚々と玄関を開けた途端に幕引きです。家の前に停めてあったはずのマイ原付スクーターことグレートポチョムキン号が跡形もなく消え去る今世紀最大級のドッキリイリュージョンですよ。そのまま玄関のドアを閉めてもう一度開けたら実はあるんじゃないかと三回くらい試してみましたけど無いものは無い。やっぱり盗まれてます。

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バイクや自転車を盗まれると事態を把握できなくなるっていうか一瞬冷静さを欠きますよね。いつも同じ場所に停めているはずなのに「アレ?昨日はドコに停めたっけ?」などと周りをウロウロ探してみたり、「お?いポチョムキン?」と物言わぬ原付に対して呼びかけてみたり、似たような原付に乗っている人が全員疑わしく見えたり、例え原付が盗まれようとも俺の心までは誰にも盗まれねーぜと逆に変なところから意味不明の勇気が湧いてみたりのカオスな気持ちになりますから。

バイクが盗まれるというまさかの逆尾崎豊を味わい不自由になった気がした27の朝なわけですけど、その日からと言うものタダでさえヒキコモリがちな私が完全に家に閉じこもる結果となりました。いま日本が抱えるニートの増加という問題もきっと私のような不遇な若者の心の傷を理解しない悪魔の如き輩が世間に蔓延しているからではないかと勝手に結論付け、盗っ人だけでなく行政や社会全体に対して怒りを燃やすという完全なニートっぷりです。

まぁ一週間ほどしてニート真っ最中で外へ一歩も出ない私の家に社会悪の温床、腐った行政でお馴染みの市役所から電話がかかってきましてね。
「ミスターMさんのお宅ですか???ってあなたのバイクですよね?」
「は、はい」
「公園に棄てたりせずにキチンと取りに来てください。迷惑しています」
「す、すみません」
どっかのヤンキーが乗り捨てたんでしょうか。なぜ公園にあるのか、そしてなぜ私が市役所の人に怒られているのかワケのわからないまま一週間ぶりに外へ出て公園へ行ってみると変わり果てたグレートポチョムキン号が静かに横たわっていました。カギは壊されミラーは割られ、シートが破られているポチョムキン号は当然の如く走りはしません。哀愁を漂わせながら原付を押して家路を辿ります。

原付が盗まれても心までは決して盗まれません。しかし原付がボロボロになると心までボロボロになるんですね。それからというもの玄関を開けるのが恐ろしく、おかげでニート街道まっしぐらです。いや、だから社会が悪いんだって!

投稿者 admin

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