どうもどうも。それでは失礼して前回の続きを。え~と、前回はあれだけ引っ張って出会いの場面で終わりましたよね?そうそう、そうでした。その続きのフラれた話を書くんでしたね。この後にいったいどんなドラマが待ち構えているんだ!?恋の結果はどうなるんだ!?というトコまで書きましたら続いては破局のシーンですね。はいそうです。おっしゃる通り、既にネタバレでございます。
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しかしですよ。完全に手も足もでない惨敗かというとそうでなかったりするんです。見方によっては勝ちと言えなくもない、となると私はやはりちゃっかりイケメンな可能性もあり、こっそりモテメンの素質を秘めていると言わざるを得ないわけで、微笑みの貴公子の称号をヨン様から奪取したこのM様が独自の”4月の雪”を演じ、すっかり春なのに私のハートは雪が降り積もる冬の時代……やっぱりどう考えても惨敗です。まじで調子こいてすみませんでした。
いやいや、そんなことより本題です。ハートもアチラも緊張状態でカタくなったままデラベッピンに連れられて、シャンプー台に座らされブシュシュのジャワワと相成ったわけですが、シャンプーされてる最中に「どこか痒いとこありませんか?」などの優しい言葉を投げかけられるんです。「ハートがムズ痒いです」更には「アチラの方がムズ痒いです」などと答えようかと思いましたが頭のネジが外れた人と思われそうなのでモゴモゴしながら黙っていると、何つーか普通に足の裏がカユい!デラベッピンが「痒いとこありませんか」とかそんな話題を出したせいでますますカユい!頭が泡だらけなまま靴脱いでボリボリ掻くわけにもいかないので、何とか足の指先だけの屈伸運動によって靴下と足の間に摩擦をつくりだし難を逃れてこれで良かったメデタシメデタシと思ったら本気で足がツリそうですからね。顔を赤らめてプルプル震えている様はまるでシャンプーと一緒に頭のネジも流されてしまった人の如しです。
というふうにシャンプーでは思わぬ失態を演じてしまいましたが続いてのヘアーカットでは名誉挽回し、ついでにデラベッピンのメールアドレス聞く気も満々です。髪を切り始めたところで、まずは楽しい会話の中で精一杯の自己アピールとなりました。
デラベッピン「普段は何をなさってるんですか?」
私「はい。主にパトロールと称した街の徘徊と自動販売機周辺の小銭収集を生業としています」
デラ「では休みの日は何を?」
私「そうですね。手からビームを出すなどの新必殺技の研究に費やしてるかな?」
などと笑っていいとものテレホンショッキング風の軽快トークに白い歯をキラリと輝かせながら爽やか満点に受け応えしていたんですが、これではいつまで経ってもアドレスゲットには辿り着けません。自然な会話の流れから何とかして突破口を模索せねば!あくまでも自然に!そして優雅に!ちょうど「犬と猫どちらが好きか」という話題のときのことです。
デラベッピン「え~、どちらかと言うと私は犬派かなぁ」
私「メアド教えてください」
ですからね。流石は平成のサムライといったところでしょうか。突如として相手の喉元に言葉の刃を突きつけるとは、壇ノ浦の戦いにおける源義経や桶狭間の戦いにおける織田信長と同様に歴史に残るアッパレな奇襲作戦です。私の的確な状況判断と勇敢な突破は、かつての英傑たちの姿を彷彿とさせます。
デラベッピン「え…?メアドですか?」
よほど胸キュンしたのかデラベッピンのハサミを持つ手も止まります。私たち2人だけを残して時間は止まってしまったのです。そして私の次なる一言で再び時間は動きだします。
私「はい、早く教えてください。」
どこからどう見てもジェントルマンで品格ある姿勢を崩さない私のセリフに胸を打たれたのか頭を打ったのか知りませんが、デラベッピンは多少はにかみながらもその辺のメモ用紙にアドレスを書いて渡してくれました。マジですよ!マジ!
展開を先読みして「どうせ職務上のメモか何かだろ?もしくはメールアドレスじゃなくて”死ね”とか書かれてたんだろ?」というオチを予想してたおまえらはちょっと死ねばいいんですよ。信じられないかもしれませんが見紛うことなく本当に本気でアドレスゲットです。私はこの時点で女性と生涯縁がなかった上杉謙信を超えた名将として歴史に名を刻んだのです。
こりゃげっちゅー確実ですね。げっちゅーと言うのも別にひねったオチがあるとかじゃなく、額面通りget you(あなたを得る)で間違いありませんから!青いイナズマがぁ~♪僕をせぇめ~るぅ~♪ほっのお♪かっらだ♪焼き尽ぅくす~♪……の次にくるヤツですから!
正直この後はデラベッピンと何を話したか覚えておりません。頭の中はずっと「ば~でぃ♪ばでぃ♪わ~おわおわ~♪」てなってましたからね。なんか「入院した経験あるか」みたいな話をしてたような記憶がボンヤリとありますが、ずっと「コレは夢だ!そうに違いない!その髪を切っているハサミで私の頭骨をグサッとやってくれ!」とか考えてましたし。いやね、しかし残念ながら夢オチでもないんです。「散髪中につい寝入ってしまった間に見た夢だろ?」という展開を予想してたおまえらはもう一度死ねばいいんですよ。
もはや髪型なんてどうでもよくてモヒカンでもカリアゲくんでも好きにしてくれコンニャロめ!と思いながらカットを終えて帰り道はずっとニヤニヤしてたんですが、散髪が終わった際に普通に「スタイリングの相談があったらいつでも言ってくださいね」とか言われちゃいまして、コレはイマドキ風に言えばデラベッピンが私にホの字であろうことは容易に伺い知れるわけです。しかも「いつでも言ってくださいね」ということは勤務外の時間、もっと言えばデラベッピンが私のことを想って眠れぬ夜に突然メールを送ったりしちゃって、色々とエロい相談してもよいということです。闇夜の中でも2人の心は恋の光が灯っているのです。まぁ夜と言えば視界が不自由ですから、つまり私は奥州の独眼竜こと伊達政宗に匹敵する猛将なのです。いやいや、歴史上の武将との絡め方がムリヤリすぎるとかそんなこと言うと手討ちにしますよ。
なわけで早速今夜の恋の密談に備えるべく、帰宅してすぐさまメールの文章を推敲するサムライすぎる私です。
「ヘアをブローするつもりがうっかりアンダーヘアにドライヤーの熱風を吹き当ててしまったんですが、どう対処していいかわからないので是非プロのワザで何とかしてください」
「ヘアワックスでスタイリングしてるんですけど、ワックスの使い方が良くわからなくて、ついでにワックスの”ワ”のところを”セ”に変えたヤツの方も教えてほしいです」
などと天下無敵の下書きメールの数々を着々と作りあげ、来るべき合戦に備えていたのです。決してこちらから仕掛けることなく様子を伺い「ミスターMさんのことが気になって眠れないわ」つぅ愛の溢れまくったメールによりデラベッピンが私の射程内に入ったと同時に間髪入れずこれらのメールを連続でブチ込むという、つまり戦国の覇者である織田信長が長篠の合戦で用いた鉄砲の三段構えの作戦です。このまま行けばミスターM幕府の成立も近いってもんです。
ところが待てど暮らせどデラベッピンからのメールが来ません。もしや裏切りか?関ヶ原の合戦で言うところの小早川秀秋か?などと小早川のせいで敗れた西軍大将の石田三成みたいな気持ちで勇ましく泣いていると、私としたことが肝心なことをウッカリ忘れていたのに気付きました。デラベッピンに私のアドレスを教えてなかったんですね。こりゃ大失態!本当にウッカリです。もう皆さんも期待してることでしょうから一体どれぐらいウッカリか説明しますと落馬でのケガが原因で命を落とすこととなった源頼朝くらいのウッカリ具合です。
これじゃメールなんて来るはずありませんから、早速
私「本日は大変お世話になりました。ミスターMでございます。只今はご在宅の時間かと存じますが、如何お過ごしでしょうか」
という恋人同士みたいな、恋人同士すぎて逆にかしこまっちゃったみたいなメールを叩き付けてやりました。
すると五分と経たず返信が!本能寺の変を受けてすぐさま備中高松城から明智光秀の討伐に向かった豊臣秀吉の中国大返しぐらい素早いレスポンスです。
デラベッピン「今日はありがとぉございました(*^o^)乂(^o^*)カットはどうでしたか??いま彼氏の家にぃますょんv(>_<)v」
彼氏の家にぃますょんv(>_<)v
彼氏の家にぃますょんv(>_<)v
彼氏の家にぃますょんv(>_<)v
なんかね、今日切ってもらった髪が丸ごとハラハラ抜け落ちてまるで教科書に載ってる室町幕府第三代将軍の足利義満の肖像画みたいな頭になりそうだったのですが、余りのショックに何て切り返せばよいかわからず
私「そうですか。私も彼女と一緒ですよ。」
とか強がってますからね。…ってバカか!そこで虚勢をはって負け惜しみみたいなコト言ってどーする。今日は一人でインターネットしていると何故正直に言わない!ていうかいつも一人でインターネットしかしてないと何故素直に言わない!
「じゃあ恋人がいる者同士だからお互いに頑張りましょうね」みたいな方向でメールやりとりは落ち着いたんですが、私は何を頑張れば良いのでしょうか?互いに恋人がいる者同士という前提がまず違うんですが、どうすれは良いのでしょうか?ともかくこうして恋の合戦に大敗した私の天下統一の夢は崩れ去りました。
人間五十年
下天の内を比ぶれば
夢幻の如く也
(人間の生涯なんて天から見ればちっぽけなものという意味)
いやしかしもう正直ダメっぽい。死にたい。まるで草臥れたボロ雑巾のようになった私は思います。こんな惨めな現状を打破したい。何とか持ち直して成功したい。そう、幕府の腐敗と財政難を改革で救ったあの八代将軍徳川吉宗のように!!!!!!
…て無理か
これにて今日の日記(と私の人生)は終了といたしますが、皆さんは壮絶な恋に無念の幕を閉じたミスターMというサムライがいたことを決して忘れないで下さい。当然の如く翌日以降はデラベッピンからのメールなんてありません。
ではさらばじゃ。