よく利用している駅の近くに行きつけの定食屋があるんですけど、まぁ私くらいのセレブともなれば唐揚げ定食(680円)で優雅にランチってのがお決まりのパターンでして、店のアルバイトの女の子も私が入ってくるなり「いらっしゃいませ。いつもの唐揚げ定食ですね?」と超ビップ待遇。
普通のお客だと席へ通されてからお冷やが来て、メニューを見ながらあ?でもない、こ?でもないと悩んだあとで最後に注文と相成るわけですが、私の場合は完全に顔パスですからね。やはりセレブは下々の者とはスタートラインからして違います。
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そして、この定食屋はゴハンのおかわり自由ということで、唐揚げを食べ尽くした後も女性店員の背中にうっすら見えるブラのラインをオカズにさらにゴハンをいただくというトリッキーな技も可能なんです。もはや、ゴハン食べ放題どころかやりたい放題、おかわり以外の自由も謳歌しているわけで、私ってば、さすがセレブだけあって食事の作法もエレガントです。
ただ一つだけ不満というか、ちょっと不都合な点もあるんです。例えば普段からセレブな私がいつもに増して超セレブ気分なときに「よっしゃ! 今日はトンカツ定食(860円)で至高の贅沢だ! ひれ伏せ! 愚民ども!」と息巻いてみても私が入口のドアを開けるや否や…
ガラガラ?
「ハイ唐揚げ定食入りま?す」
とキタコレ。いやね、こんなときは今日はトンカツ定食にしますって言えば問題ないんですけど…
ガラガラ?
「いらっしゃいませ?」
じゅわわ?
とか間髪入れずに鶏を揚げ始めるとなると、もう抗う術もありません。
まぁ古来より日本では言語に極力頼らない意志疎通を重んじる伝統がありまして俳句や短歌にしてもそうですが、必要最低限の情報だけで情景や思念を伝えて、足りない部分は受け手の想像に委ねるのが美しいとされるわけです。思ったことや伝えたいことをハッキリ詳細に説明すると判りやすいのですが、それって野暮じゃない? 唐揚げモードに突入してる店員を遮って別のにしろなんて何だか図々しいじゃない? ガツンと自分の意志を主張できない私にはゴハンおかわり自由と言えども注文の自由はないわけですよ。
思っていることを形にするには勇気が要ります。相手が当惑するかもしれない、図々しく思われるかもしれない、しかし美徳だとか気品だとかを無視して泥臭くとも敢えて言わねばならない場合もあるのです。そうでなければ本音は伝わりませんから。
「いらっしゃいませ?、唐揚げ定食屋ですね?」
「いや、ブラを見せてください」?本音
うん、確かにこの注文は勇気が要ります。
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