地震です!九州の北部の皆さん大丈夫ですか?
普段は引きこもりの私ですが、そのときはたまたま外にいたんですね。「活発に外出なんてめずらしいな俺!こんな日は地震でも起こるんじゃねーの?なぁんてね♪」などとくだらない独り言をつぶやいてたら、ナイスタイミングで足もとぐらぐらです。まるでドリフのコントのような大自然のお茶目なイタズラ。あまりにも突然の出来事に、本気で現実かコントかの区別がつかなくなってしまいます。私の身に起こった今の状況は虚構のコントなのでしょうか…耳をすませばホラ、ドリフでよくあるオバちゃんの笑い声の効果音が聞こえてきそうです。…ッてだめだこりゃ。
いやはや、地震の衝撃をまともに食らうのは初めてですが想像よりも大きくゆっくりと揺れてました。もっと小刻みで激しいもんだと勝手に思ってましたが、立ちくらみみたいにユラユラ揺れて、思わず足腰に力が入ってしまいます。
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何かに掴まろうにも、電柱も建物も街路樹も周りのものは全部揺れてます。デカいものに必死にしがみついたところで、もしそれが崩れたりしたら私もいかりや長介さんと同じトコロへ逝ってしまいかねません。もはや自分の拳を強く握りしめるしかないのです。中腰になりながら力いっぱいグーの手でふんばる私。端から見れば、公道で人目をはばかることなく、ズボンも降ろさないまま野糞に挑む無謀な男です。
しばらく揺れに耐えていましたが、極度の緊張と興奮の中でのこのポーズ。このままでは恐怖のあまり脱糞という最悪のシナリオも十分に有り得ます。通行人もいる中、脱糞だけは避けたい。死んでも避けたい。仮にハミ糞しながらも生き延びたとしても、何だかそれが原因で後々死にたくなるような気がします。
とは言え、正月の鏡餅のように三段のトグロを巻いたウンコは私の体内から激しく肛門をノックしています。
「ドンドンドン!ここを開けろ!」
「開けてたまるかぁ~ッッ!!」
菊の扉の向こう側で暴れるウンコを止めるには、地震の恐怖を克服する以外にありません。揺れる地面の上でふんばっている人という構図を自然なものとして見ることが出来れば私の勝利です。現在の非常事態を日常によくある風景に変えるのです。よく考えてください。え~と、揺れる地面の上でふんばっている人……
そうだ!ドラゴンボール!
ドラゴンボールってホラ、戦うときに身体からオーラみたいなの出しながら「ハァァァ……」とかやってふんばるでしょ?そのとき「ゴゴゴゴ……」て地面が揺れるでしょ?私は地震に遭っているのではなく、ドラゴンボールのキャラのように戦闘時に自分の気を高めているということにすればいいんです。これなら全く自然ですし、コワくありませんね。これで便意ともサヨナラです。我ながら素晴らしい思いつき!あとは自分で自分に催眠術をかけるだけです。
私は気を高めるというごく自然な行為をしているんだ…戦いの際に気を高めるのは自然だ…現実の日常によくある至って普通の光景だ…でもそんなのリアルで見たことねーよ…
ギャース!現実に引き戻され、うっかり三段ウンコの一段目がハミ出てしまいました!しかしここで自己暗示を解くわけにはいきません。『暗示を解く→地震にビビる→脱糞する→死ぬ』私はこんなところで死ぬわけにはいかないのです。さらに強く念じます。
私はドラゴンボールの戦士だ…戦うために気を練っているんだ…これから戦うんだ…誰と戦うんだよ…
ノォーウ!やはりドラゴンボールという設定にツッコミどころがありすぎたのか、三段ウンコが二段目まで飛び出してます。私の肛門括約筋はウンコの最後の一段をギリギリ挟んでいるという危険極まりない状態です。
もはや万事休すかと思われた矢先、それまで猛威を奮っていた揺れが突然ピタリとおさまりました。助かったのです。その辺の通行人たちの歓喜の声がこだまします。
「揺れが止まった!よかったですね!」
狂喜乱舞する人々。私もその喜びの輪の中に飛び込み、思わず叫びます。
「悟空が…悟空が来てくれた!助かりましたね!」
……暗示を解くのをすっかり忘れていました。見知らぬたち人の冷たい視線が突き刺さり、喜びの輪から弾かれる私。周囲は明らかに地震よりも私に恐れを成しています。どうやら私は先程の地震の驚異の糸を引く余震となってしまったようです。
皆さんは無事ですか?私のようにケガなどしていませんか?