流儀3: 人生観
ハジメは知っている、人生が終わった後、何も残らない事を。
三世代、四世代遡れば、親族ですら先祖の顔を思い出せない。
人間は金を抱えて死ぬ事はできても、何も残らない。
見えるものは皆消えていく、その中でハジメが見出した答え、何を遺すか、形あるものではない。
意思だ。と。
ハジメの親族は芸術家の家系。彼も意識しないうちに、その道を進み、今は確かに自分の血の中に細胞レベルで受けつがれた芸術家の血筋のもと、人生を送っている。
ハジメはいう、物欲の先には光はない、自分が伝えるべきはハジメ家の魂なのだと、自分たちは数千年という時を超えて生きてきた。
スレンダーなモデル体系の娘募集中。
「柔らかくあれ」
この数年の間、誰かに意見を言われて、自分の意見を変えられただろうか?
ハジメはいつも柔らかくありたいと願う。
ハジメは知っている。水が空気中に漂う時どうして球体になるのかを、それは空気抵抗の類ではない。
その方が水が居心地が良いのだ。
ハジメは柔らかくいる。
そして、人の意見を聴く事ができる男だ。
その彼が唯一、人の意見を無視して突き進むもの、それはバジル栽培。
そこに彼のこだわりがある。
硬くなると人は視野が狭くなり、好機を逃す。
好機は自分の中にいつまでも保持しておくことはできない。
ハジメは言う。
今がバジルの収穫時だ。
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